21世紀の海賊たち

somalia piratesソマリアの海賊の横行が止まらない。週末に中国船籍のマグロ漁船がケニア沖で襲われたのに続き、昨日はサウジ船籍の大型タンカーまでもが海賊に乗っ取られたとのニュースが飛び込んできた。中国漁船の船長が沖縄出身の海人だったこともあり、事件の行方が気になるところだ。

ここ数年インド洋やアデン湾で横行している海賊は、ほとんどがソマリア人のグループだと言われる。BBCのリポートによると、いまや海賊はソマリア北部プントランド地方の一大ビジネスと化しているという。今年だけでもすでに36件のハイジャック事件が起き、14隻、268名が現在も拘束されたまま。1隻あたりの身代金は30万ドルから150万ドルと高額だが、人質を取られた船会社はやむなく支払うケースが多いという。ソマリア東岸のEylという港町には拘束された船がずらりと停泊し、巨万の富を得た海賊たちが武器を持って闊歩する海賊の町と化しているという。まるで”パイレーツ・オブ・カリビアン”の世界そのものである

ソマリアは90年代初頭から20年近く無政府状態が続いており、世界最悪の”破綻国家”とも呼ばれてきた。90年代中頃には国際指名手配を受けていたオサマ・ビンラディンが潜伏し、アルカイダの活動拠点となっていたことでも知られる。貧困の中で希望をもてない若者が、手軽に金を稼げる海賊行為に走って行ったようだ。法の秩序がない中では、誰も若者の暴走を止められなかったのだろう。

当の若者たちは自分たちを”海賊”とは呼ばず、”沿岸警備隊”と呼ぶのだという。海賊行為横行のもうひとつの要因に、外国の漁船による乱獲で地元の漁師の生活が成り立たなくなったことがあるという。若者の狂言はさておき、ここにも世界的な食料問題の陰が見え隠れしているのではないだろうか。

4年前、ドバイでダウ船と呼ばれる木造帆船を取材したことがある。ダウ船は8世紀頃からインド~アラビア半島~東アフリカのイスラム圏を結ぶ海の交易路で活躍した船で、現在も動力化されて生活物資の輸送に活躍している。ドバイにもソマリアのダウ船がたくさん寄航していて、ソマリア商人が復興過程にあったイラク向けビジネスに活躍していた。

この4年で世界経済はますます悪化し、イラク情勢も先行きが見えない。海賊対策に日本の自衛隊を派遣する動きも出ているようだが、それだけでは根本的な解決にはならないだろう。一刻も早くソマリアに主権sovereignを確立し、ダウ船が自由に行き来できる海を取り戻してほしい。

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