
アフガニスタンでペシャワール会の現地スタッフ伊藤和也さんが殺害された。住民のために献身的な仕事を続けてきた伊藤さんがなぜ殺されなければならなかったのか。犯行グループに強い怒りを憶える一方で、最後までアフガン民衆のために土にまみれて働いた伊藤さんに深い敬意を表したい。
伊藤さんは高校、大学で農業を本格的に学び、卒業後はアメリカの農場で研修を受けた農業のプロだった。その知識を戦乱と干ばつに苦しむアフガンで生かしたいと考えるのは、若者としては自然な発想だったろう。彼が選んだペシャワール会は、アフガンで医療、利水、農業支援の活動を20年以上も地道に続けてきた。世界中の紛争地でNGOを取材してきたが、ペシャワール会のように地元に密着した志の高いNGOを見たことがない。緊急支援中心の欧米型NGOが、世界的な関心がひと段落するとさっさと撤退していくのを横目に、ペシャワール会は現地の人々と汗を流し、泣き笑いを共にしてきた。伊藤さんもそんな若者のひとりだったろう。
個人的にもペシャワール会には深い思い入れがある。20代前半、福岡に暮らしていた頃にペシャワール会に出会った。それがその後、中央アジアや中東イスラム圏の人々をテーマに仕事をする大きな契機となっている。事務局長の福本さんとは行きつけの飲み屋が同じで、アフガンやパキスタンの話を聞いて大きな刺激を受けたことを思い出す。
去年10月、那覇に講演にいらした中村哲代表にお会いした時、現地の治安が急速に悪化していることを大変懸念されていた。また、自衛隊のインド洋での給油活動やアフガン派遣検討が、対日感情に影響を与えることも憂慮されていた。
ペシャワール会は日本人スタッフすべてを撤退させ、地元スタッフによる遠隔操作で活動を続けるという。皮肉にも今回の痛ましい事件で、会の活動は全国に知れ渡ることとなった。ひとりでも多くの人が、日本が世界に誇るこのNGOを支援することを通してアフガンの民衆とつながってほしいと思う。私も全国に1万人いる会員のひとりである。ひとりの若者の死を無駄にしないためにも、これからも会の活動を陰ながら支えていきたい。
(イラスト:ペシャワール会の会報でおなじみの画家、甲斐大策さんの作品)