チベット亡命政府のあるダラムサラの街中には至る所にダライ・ラマの肖像画が掲げてあるが、それと並んで少年の肖像画もよく見かけた。このあどけない少年こそ、チベット仏教においてダライ・ラマに次ぐ重要な地位を占めるパンチェン・ラマである。
パンチェン・ラマは阿弥陀仏の化身とされ、中国政府はその地位をチベット分断政策に利用しようと試みてきた。パンチェン・ラマ10世が89年に死亡すると新たに転生者の捜索が開始され95年、ダライ・ラマはパンチェン・ラマ11世の発見を宣言。しかし中国政府はすぐさまこの少年に有罪宣告し誘拐、自ら選んだ別の少年を11世として宣言した。中国政府はパンチェン・ラマを幽閉していることを認めているが、”チベット民族主義者による誘拐から守るため”というでたらめな理由で釈放に応じていない。これは何を意味するか?中国政府は自ら選んだパンチェン・ラマを既成事実化することで、いつか訪れるダライ・ラマ14世の死と15世の認定を自らの手でコントロールしようと企んでいるのだ。ダライ・ラマ14世が死亡すれば、法王不在の空白が数年続き、チベット民族運動は大きな打撃を受けるだろう。さらに傀儡の15世を即位させ、チベット問題を葬るのだ。中国政府はその時をじっと待ち続けているのである。
国際社会は、パンチェン・ラマ11世の釈放を改めて強く要求すべきである。
(写真:ツグラカン寺に掲示してあったパンチェン・ラマ11世肖像/去年11月)