911から今日で6年。オサマ・ビンラディンの声明が3年ぶりにウェブ上で公開された。米本土への攻撃を強化することを宣言する内容だ。声明を収録したのは、”アッサハブ”と呼ばれるアルカイダのメディア部門だ。
アルカイダをはじめ、イスラム過激派のネット上での動きは活発だ。彼らは米国やイラク政府を標的に自爆テロを繰り返す一方で、インターネットを使った宣伝活動を積極的に進めている。3年前、アルカイダのメディア部門の影を追って、パキスタンやイギリスで関係者と見られる人々を訪ね歩いたことがある。911から3ヶ月後、ペシャワールのホテルに滞在していた私は、パキスタンのイスラム過激派団体のメンバーを名乗る男からアルカイダの新兵募集ビデオ作品「プレパレーション・ソリューション」を入手した。アメリカがいかに世界中でイスラム教徒を苦しめているかを訴え、”結論”としてアフガニスタンにあるアルカイダの訓練キャンプに集まるよう若者に呼びかける内容で、2時間以上に上る大作である。そのビデオの最後に、”As-Sahab Production”とのクレジットを発見した。これを足がかりに、謎のビデオプロダクション”アッサハブ”の追跡を始めたのだ。
アッサハブとはアラビア語で”雲”を意味する。その後の調べで、この団体はアフガニスタンで対ソ聖戦が行われていた80年代に、ムジャヒディンへの資金援助をイスラム諸国全域に呼びかけるために作られた宣伝機関が母体だったことが分かった。事務所は隣国ペシャワールに置かれていた。当時の関係者によれば名前の由来は、”雲のように”イスラム主義、反ソ連思想を世界にあまねく伝える”ことだったという。ペシャワールのバザールには今も、当時のムジャヒディンの戦闘の様子を記録した”ジハードビデオ”と呼ばれるVCDが普通に売られている。元は8ミリビデオだったと思われるが、イスラム過激派が自分たちの主張を映像メディアで発信するという”情報聖戦”の試みは、この当時すでに始まっていたのである。 (つづく)