新たな壁

df187a0f.jpgイラクでは今週もまた、テロの嵐が吹き荒れている。この3日間だけでも、160人以上が殺害された。治安を回復できないアメリカ軍は今、状況をさらに悪化させかねない危険な行動に出始めている。

スンニ派地区とシーア派地区を分断する”壁”の建設だ。

先月中旬から、米軍はバグダッドのアザミーヤ地区の周囲にコンクリート製の分離壁の建設を始めた。スンニ派地区にシーア派民兵が侵入するのを防ぐのが目的だということだが、地元住民からは「地域社会を分断し、かえって対立を深めることになる」と強い批判の声が上がっている。今月3日には、壁を視察中の米軍大佐が銃撃される事件も起きている。

この壁はイラクの人びとに、パレスチナでイスラエル政府が建設を進める”分離壁”を思い起こさせるだろう。彼らにとっては支配者による横暴の象徴にしか見えないはずだ。壁の建設がさらなる暴力の連鎖を生むこであろうことは想像に難くない。

戦争の世紀と言われた20世紀、人類は2つの大戦を経て”ベルリンの壁”を生み出した。冷戦崩壊と共にベルリンの壁も崩壊し、誰もが穏やかな21世紀を信じたのも束の間。今や世界中に暴力の嵐が吹き荒れている。その解決策として再び、新たな”壁”が建設されようとしている。

遠い日本から眺めているとにわかには信じられない現象だが、人間というものはつくづく愚かなものだと虚しい気分になる。その愚行を真摯に記録するのもまた、ジャーナリズムの役目なのであろうが。。

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