フセイン政権崩壊から4年。混迷の度を増すイラクで今、反米武装勢力による新たな”国家”が出現している。
日本ではあまり報道されることのないこの国の名は、「イラク・イスラーム国(ISI)」。アルカイダを中心に5つのスンニ派武装組織が結集し去年10月、イラク中部で建国を宣言した。最近、テロ攻撃の犯行声明の多くは、このISIの名で出されている。
ISIの統治者は、アブオマル・バグダディと名乗るイラク人。年齢や出身地など詳細は謎に包まれているが、90年代にアフガニスタンでビンラディンの下で奉仕し、イラク戦争後は祖国での反米武装闘争を続けてきたといわれる人物だ。イラクでアルカイダの活動を率いてきたヨルダン人テロリスト・ザルカウィ氏が去年殺害された後、バグダディは正式に後継者に指名されたようだ。
ISIは最近、頻繁にその統治能力を示そうとしている。そのひとつが、ISI”情報省”が2月に発表した、女性ドライバーのための勧告だ。勧告は年齢や服装や免許の取得など、いくつかの制限をつけながらも女性の運転を認めるもので、その規定も極めて詳細にわたっている。こうしたISIの動きの背景には、”外国人テロリスト”として一部地域では地元部族の反感を買っていたアルカイダが、イラクスンニ派の”国家”に姿を変え、より地元に密着して活動を広げようとしている実態があるのではないだろうか。
ISIと地元部族が衝突する事件もいまだに続いており、ISIがイラクのスンニ派地域で全面的に受け入れられているとは考えにくい。ただ、その存在を軽視していると、中東のど真ん中に過激なテロ国家が誕生するという悪夢に至る危険性は否めないだろう。
(冒頭の旗は、ISIの国旗)