桜坂劇場で上映中のドキュメンタリー映画「ダーウィンの悪夢」を観た。舞台はタンザニア、ビクトリア湖畔の町。50年前に食用に放流された肉食魚ナイルパーチが一大輸出産業となり湖の生態系を破壊。売春や麻薬、武器売買などをはびこらせ、地元の暮らしを崩壊させていく実態を丹念な取材で描いた秀作だ。
ナイルパーチが日本にも輸入されているのは知っていた。以前は”スズキ”の名で売られていたが、最近はナイルパーチの名で店頭に並んでおり、「気味の悪い名前だな」と感じていた。調べてみると、ファミリーレストランや弁当の白身魚、大手ファーストフードチェーンの定番商品などにこの巨大魚は使われており、私も無意識のうちにナイルパーチを胃袋に入れていたことに気付かされた。
ちなみに、この映画ではナイルパーチがまるで”悪魔の魚”のように描かれているが、ナイルパーチも気の毒だ。彼らは自らの意志と無関係に人間の手でビクトリア湖に放流されたのだから。こうした外来生物による生態系の破壊は、人間の横暴に対する神からの警告なのかもしれない。