生まれて初めて上海蟹を食べた。せっかくの機会なので上海市内の蟹料理の名店と言われる「王宝和酒家」に出かけた。
さっそく紹興酒と上海蟹を注文する。この店の上海蟹は最高級と言われる陽澄湖産だが、本当の旬は9~11月だそうだ。写真の手のひらサイズの蟹1杯で20元(約3千円)。相当な高級食材である。まずは紹興酒をすすりながら蟹味噌をいただく。実にまったりと濃厚かつ上品な味だ。甲羅の中の身を食べ、続いて足に取りかかる。細い足の殻を割りわずかな身を取り出すのは大変骨の折れる作業だ。ようやく足を片づけ最後はハサミへ。ここには結構身が詰まっており、苦労の後のご褒美のような幸福感に包まれた。
高価な出費と引き換えに手に入れた至福体験だったが、実はいま日本で上海蟹が増殖して困っているという。食用に輸入された上海蟹(チュウゴクモクズガニ)が野生化し、各地の湖や沼、海で在来種を脅かしているというのだ。環境省は去年、生きたままの上海蟹の個人への販売、購入を禁止するに至った。高級食材が日本では”エイリアン”扱いである。
沖縄でも八重山諸島などで上海蟹が増殖し、地元の希少生物の生存が危ぶまれているという。生態系の保護という尊い使命も兼ねて、上海蟹を捕獲して食べてみるのもいいかもしれない。