イラク、IEDの戦慄

Nathan沖縄からイラクに出撃した米兵に再び犠牲者が出た。ネイサン・クリソフ、ネバダ州リノ出身の25歳の若者だ。12月9日、イラク西部のアンバール州で作戦行動中、路上に仕掛けられた爆弾に車ごと吹き飛ばされ死亡した。

ネイサンを殺害した爆弾こそ、いまイラクで猛威を振るう「IED」と呼ばれるものだ。IED(Improvised Explosive Device)とは正式な兵器ではなく、武装勢力がありあわせの材料を組み合わせて作った手製の仕掛け爆弾である。インスタント爆弾に携帯電話を装着して遠隔操作するものや、対戦車地雷をいくつも重ね合わせたものなど種類も様々である。3千名の大台に迫ろうという米兵死者の約3割がこのIEDの犠牲者だと言われる。ハイテク装備の強大なアメリカ軍が、手作り爆弾に手を焼いているというわけである。

地元紙の報道によればネイサンは、高校で水泳部キャプテンや生徒会長も務める快活な青年だったようだ。大学では政治学を学び、卒業後は政治家を目指していたのか、ワシントンのシンクタンクに勤めていた。しかし911テロが彼の人生を変えたようだ。”対テロ戦争の最前線で戦いたい”、ネイサンは海兵隊に入隊する。ことし9月に沖縄に配属になり、10月にイラクに出撃。情報収集を専門として最前線で活動していた。

IEDの猛威を目撃し、ネイサンは呆然としたであろうか。アメリカ軍の最新の情報収集システムも、路上の手製爆弾ひとつひとつを探知することはできないから。

ブッシュ大統領がイラクでの米軍増強を検討していると発表し波紋が広がっている。IEDとの戦いに、アメリカ軍はハイテク信仰を捨て、終わりなき人海戦術に打って出るつもりなのだろうか。

(写真:故・ネイサン・クリソフ少佐)

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