日印新時代の幕開け

Noidaインドのマンモハン・シン首相が4日間の訪日日程を終えた。新たな大国として台頭するインド、東アジアの覇権を狙う中国を牽制したい日本。日印の接近は、双方の国益に基づいた極めて戦略的なものだ。

安部首相とシン首相のトップ会談では、経済パートナーシップ・イニシアティブの推進、経済連携協定交渉の開始、ビジネスリーダーズフォーラムの設置などが合意された。”経済””経済”のオンパレードで、まるでCEOどうしの会談である。

日印が経済交流を進めることに全く異論はないが、長年インドを見つめ続けてきたひとりとして、老婆心ながら懸念も憶える。それは何か。

まず、政府が急に”インド!インド!”と騒ぎ出した背景に、経済モノカルチャー的な発想の貧困さを読み取ってしまうことがある。中東を”産油国”としてしかとらえることができない発想と同様である。

そしてもうひとつ重要なこと。安部政権が、中国を牽制し孤立化させる有効策としてインドとの関係強化を考えていることである。いわば中国の”当て馬”というわけだ。
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インドの地元紙の論調を見ていると、日本政府のこうした意図を見抜き、関係強化に慎重な意見も数多くあった。インドはいま長年の中国との対立を解消し、友好関係の構築に動いているためだ。しかし、安部首相が最初の外遊先として中国を選び対中関係の打開に動いたことで、前向きな意見になっていったようだ。

いずれにせよ、インドを甘く見ない方がいい。哲学、政治、経済、どれをとってもその叡智たるや超一流である。軽い気持ちで経済進出すれば、必ずや痛い目に合うだろう。世界の隅々で生き延びてきたインド商人の抜け目なさを、安部首相は知っているだろうか。

インドの本質を理解し、戦略的ではなくとも信頼関係に基づくパートナーシップを築いて行きたいものである。

(写真:ニューデリー近郊のショピングセンターで出会った女性販売員たち/遊園地コーナーで子供を遊ばせる中産階級/ことし3月撮影)

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