最新鋭誘導弾パトリオット(PAC3)本体がきのう、市民グループの激しい反発の中でアメリカ軍嘉手納基地に運び込まれた。PAC3は “Patriot Advanced Capability 3″の略で、正式には”パトリオット能力改善3型”と呼ばれる。
PAC3本体と発射台は沖縄県東部の天願桟橋に陸揚げされていたが、市民団体がゲート前で座り込み阻止行動を続けて膠着状態が続いていた。しかし昨日朝、機動隊が市民グループを強制排除し、PAC3は予定から2日後れて嘉手納基地にトレーラーで陸送された。
PAC3の配備は沖縄では”基地の強化・恒久化”の動きのひとつと考えられており、多くの地元自治体が抗議を表明したが、今回もそうした声は無視された。各自治体にパトリオット配備が通達されたのは実施の数日前だ。今回はさらに、北朝鮮の核実験が日本政府と米軍に追い風となった。核実験によって東アジア情勢が緊張の度を増す中で、パトリオット配備は当然といったムードが国内に広がった。そういう意味では、安部首相はつくづく運に恵まれた男だと言える。
一方で、北朝鮮が日本を攻撃すると想定した場合、高速で飛んでくるミサイルをパトリオットに迎撃する能力があるのか、疑問の声も上がっている。PAC3は年内に24基の配備が完了し、来年度から本格運用が始まる見通しだ。配備後もその是非を見守っていく必要がありそうだ。
(写真:PAC3発射実験~米軍事雑誌より)