インドのマンハッタン~ムンバイ最新報告④

チョウパティービーチ
ムンバイは、インドの他の都市とは明らかに違う雰囲気を持つ不思議な町だ。古くからアラビア海に開かれた貿易港だったこの町は、今やインド亜大陸きっての国際都市である。もともとは7つの島からなるムンバイは、大英帝国支配の元で拡張を繰り返し、現在はアラビア海に突き出た半島のような形になっている。ちょうどニューヨークのマンハッタンによく似ている。
英国統治時代の古い建物が今も残り、公園や街路樹などで町は緑にあふれている。”人種のるつぼ”とまでは行かないが、先住民であるマラータ人に加え、商才で知られるグジャラート人など、インド各地の人種が混住する。宗教もヒンドゥー教、イスラム教、ジャイナ教、シーク教、ゾロアスター教、キリスト教、ユダヤ教と多様だ。湾岸諸国からやってきたアラブ商人、東南アジアからの出稼ぎ者、欧米の金融マンなど、外国人も多く暮らす。

ムンバイ2階建てバス

かつて”ボンベイ”と言われたこの町の名は、95年にBJP(ヒンドゥー至上主義政党)政権下で、”ムンバイ”に変更された。植民地時代の英語名から、それ以前の正式名称に戻すという運動である。屈辱の記憶を消し去り、民族の誇りを取り戻したいというインド人の気持ちは理解できるが、実は改名には市民からも強い反対の声が上がったいう。数百年にわたり国際都市として名を馳せた”ボンベイ”という名に対し、理屈抜きで愛着を持っていた人々が多かったのだという。歴史をこだわらずに受け入れる寛容性こそが、ボンベイという町の魅力でもあるからだ。IT拠点として世界的に有名になった”バンガロール”も今年11月、”ベンガルール”への改名が予定されている。膨大な改名コストと、イメージダウンが懸念されており、すでに大きな議論を呼んでいる。

オーヴァル公園

インドでのBJP旋風は、一昨年の総選挙で国民会議派が勝利したことでひとまず落ち着いた。しかし今だにボンベイを管轄するマハラシュートラ州政府はBJPが牛耳っていると言われる。狭量なヒンドゥー至上主義は、この町が受け継いできた多様性や寛容性を失わせかねない危険性も秘めている。

ムンバイ摩天楼夕景

マリンドライブ

(写真上から:▼市民の憩いの場、チョウパティービーチ▼市内を走る2階建てバス▼オーヴァル公園でクリケット楽しむ若者たち▼ムンバイ摩天楼夕景▼”女王のネックレス”と称えられる海岸道路「マリンドライブ」)

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