顔を描かれたムハンマド

アリーデンマークの新聞がイスラム教の預言者ムハンマドの風刺漫画を載せ、世界のイスラム教徒の怒りを買っている。

※ちなみに左の肖像画はムハンマドではありませんので誤解のないよう。

イスラム教では偶像崇拝を禁じており、ムハンマドの肖像画を書くことはただでさえ固く禁じられている。ましてや風刺漫画など論外である。イスラム教徒の怒る気持ちも理解できないではない。

一方で、ムハンマドの後継者たちの肖像画はイスラム世界でも結構多く見られる。特にシーア派は、初代イマーム・アリー(ムハンマドの娘婿)や3代目イマーム・フセイン(ムハンマドの孫)の絵が大好きである。イランなどでモスクの周りの宗教グッズ店へ行くと、極彩色の少女漫画風な肖像ポスターが山ほど売られている。人々はこうしたポスターを店や自宅に飾るのである。さながら芸能人のプロマイドである。こうした風習は、シーア派がスンニ派から異端視されるひとつの原因にもなっている。

イスラム教徒も人間である。偶像崇拝するなと言われても、自分の好きなイマームの肖像画を拝みたい時もあるのだろう。しかし、そのシーア派もムハンマドの肖像だけは御法度だ。私が以前見かけたムハンマドの肖像は、顔を描く代わりに顔面が光り輝くようデフォルメされていた。

今回の事件は、”言論の自由か、宗教への冒涜か”といった議論に発展しているようであるが、それほど大げさな話だろうか。イスラム教徒を露骨に侮辱するような漫画は掲載すべきではないし、それに対し暴力で抵抗するのもひじょうに短絡的で野蛮な行動だ。双方が異文化を尊重し、相手の立場で物を考える心の余裕があれば、今回のような事態にはならないはずである。そういう意味では、いま世界で起きている対立の縮図のような事件である。

(写真:ムハンマドの娘婿でシーア派初代指導者アリーの肖像画)

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