イランとダンスを踊るのは?

684d5d7d.JPGイランが国際社会の懸念をよそに、核開発の継続を発表した。
軍事利用につながりかねないウラン濃縮技術開発の陰には、米欧中ロ各国の思惑を読みきったアフマディネジャド大統領の自信がのぞく。

79年のイスラム革命以来、イランと国交断絶状態にあるアメリカは、核開発問題の交渉をEU、とりわけ英仏独3国に委ねてきた。今回イランはこれら3国の説得を無視する形で核開発継続に踏み切った。
アメリカは大量破壊兵器の開発に対して、先制攻撃をも認める「ブッシュ・ドクトリン」を掲げ、実際にイラク攻撃を行った。しかしイラクで泥沼に入り込んだアメリカには最早、イランを攻撃する余力などない。アフマディネジャド大統領はそのことを熟知したうえで、一見危険に見える賭けに出ているのである。

イランにとって、隣国であるイラクの治安が回復せずにアメリカが苦しみ続けることは、国益上重要なことだといえる。
実際、イラク戦争直後から、イラン革命防衛隊のスパイが巡礼者と偽ってイラク国内に大量に侵入していると言われる。こうしたスパイは米軍や英軍への攻撃や、スンニ派へのテロを実行し、イラクの混乱を煽っていると見られている。

その一方で、石油や天然ガスといった豊富な天然資源を有するイランは、中国やロシアとエネルギー供給で深く結びついている。もし核問題が安保理に付託されても、中国・ロシアがイランへの経済制裁に賛成することはないとアフマディネジャド大統領は読んでいるのだろう。

12月、イランの宗教都市・コムで、アフマディネジャド大統領を支持する大規模なデモに遭遇した。デモを呼びかけたのは宗教指導者たちだった。”イスラム法学者による統治”を掲げるイランでは、コムを中心とする宗教界の政治への影響力は絶対的だ。欧米との対話路線を進めたハタミ大統領に代わって登場した保守強硬派のアフマディネジャド大統領は、こうした宗教界からの支持がひときわ強い。欧米の圧力に屈せず核開発を続ける大統領に、”イスラム”の誇りを見出す国民も少なくない。

アザデガン油田の権益確保を目指す日本も、イランの核開発問題には神経をとがらせてきた。直接交渉のカードを持たない日本としては、アメリカやEUを通して交渉を進め、利権への食い込みをはかると思われる。

週明けには、イランの核開発をめぐる米英独仏中ロの6カ国の局長級協議が開かれる。イラク戦争の開戦をめぐっても議論を戦わせた”お馴染みの”6カ国である。
果たしてイランはこの6カ国の中のどの国と、危険な”ダンス”を踊ろうとしているのか。今後の行方が注目される。

(写真:イランの聖地コムで行われた大統領支持デモ/去年12月23日)

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