珈琲版画をご存知だろうか?
版画家の奥山義人氏が、コーヒーをテーマに制作した木版画のシリーズである。
奥山氏は画家、彫師、摺師、版元の4役を一人でこなす現代では稀少な版画家だ。
浮世絵などの伝統版画を制作する一方で、
遊び心たっぷりの創作版画も数多く世に送り出してきた。
珈琲版画もそんな氏の代表作のひとつだ。
父親の故・儀八郎氏も版画家で、面白いことに研究本まで執筆するほどのコーヒー好きであった。
父が始めた珈琲版画を義人氏も受け継ぎ、
93年に「こうひい絵物語 版画珈琲小史」という作品集も出版している。
http://www.asahiya-jp.com/scb/shop/shop.cgi?No=198&
イエメン(もしくはエチオピア)で発見され、オスマントルコを経てヨーロッパへ渡り、
やがて大航海時代を経てカリブや南米、東南アジアにまで生産地を広げていったコーヒー。
まさに世界商品ともいえるコーヒーの歴史を、
版画で楽しめるという秀逸な絵本だ。
コーヒーへの愛情あふれる版画はどれもユーモアもたっぷりで、
眺めているだけで、なんだか楽しくなってくるのである。
このたび、奥山氏の珈琲版画を、
映像作品として改めてまとめさせていただくこととなった。
私が事務所を間借りさせていただいている、
ミディレコードのプロジェクトである。
先週、松戸にある奥山氏の工房で約100枚の珈琲版画を撮影させていただいた。
これから編集、ナレーション、音楽をつけ、
来年春ごろまでには完成の予定だ。
コーヒーの香り立つような珈琲版画の映像世界を、
どうかご期待ください。
(写真:イエメンのシェーク・オマールの珈琲発見伝説)