早いもので、911から10年である。
あの日は仕事を終えて横浜の自宅に帰宅した。
テレビのニュース番組をつけた途端に、
ニューヨークの同時多発テロのニュースが飛び込んできた。
しばらく観ていたが、すぐにこれは大変な事件だと思い直し、
当時勤めていたテレビ局にとんぼ帰りした。
週末には特別番組を放送することが決まり、
それから3日ほど帰れなかったように記憶している。
やがてアメリカのアフガン攻撃が始まり、
私も11月にはパキスタンのペシャワールに入り、
難民キャンプに押し寄せるアフガン難民やタリバン兵士を取材した。
その後数年にわたり、アメリカの拳が振り下ろされる中東各地を取材することとなった。
そこで見たものは、
アメリカ軍の攻撃で親を失った孤児たちや、
住む土地を追われた難民の群れだった。
それが対テロ戦争の実態だった。
そして、人々のアメリカへの激しい憎悪が増幅されていくのを目の当たりにした。
911から10年。
オサマ・ビン・ラディンが殺害され、
対テロ戦争にひとつの区切りがついたとアメリカは喧伝する。
果たしてそうだろうか?
私の取材実感では、
オサマが生きていようが死んでいようが、そんなことはもはや関係なく、
”アメリカへの怒り”はこの10年でさらに広がっている。
世界各地に、アルカイダとは直接コンタクトのないイスラム過激派組織が、
網目のように活動しているのである。
最近ではアメリカ出身の過激派指導者、アンワル・アウラキ師が、
オサマ亡き後のカリスマとして認識されつつもある。
アウラキ師が活動しているといわれるイエメンは、
新たにテロリストの拠点となりつつあるようだ。
オバマ大統領の誕生は、
ブッシュ政権の過ちによって失われてしまったアメリカへの信頼を
なんとか回復したいとの国民の願いがもたらしたはずだが、
どうやらその願いも打ち砕かれつつあるようだ。
オバマはイラクからの撤退を進める一方で、
アフガンでは米軍を増派するばかりか、
パキスタン国内での無人機攻撃による民間人の誤爆を続け、
そして他人の国のど真ん中でのオサマ暗殺を実行した。
私もオバマ政権の誕生には少なからず期待を抱いたのだが、
http://blog.livedoor.jp/eurasian/archives/1205691.html
歴代のアメリカ政府が培ってきた行動原理を、
オバマが一代で変えることはやはり難しいようだ。
このテロ攻撃で亡くなった方々には心からお悔やみ申し上げたい。
今もって行方不明のままの方もいるという。
しかし一方で、
アメリカが始めた対テロ戦争のもとで、
いったいどれだけの民間人が世界中で犠牲になっただろうか?
この10年間、
なぜあの痛ましい事件が起きたのかという原因に、
世界は本気で向き合ってきたのだろうか?
それに対するアメリカの答えは”中東の民主化、資本主義化”だ。
民主的に発言する機会がなく貧しいから、
みなモスクなどに密かに集まり、過激思想に染まるのだと。
そしてこの春、ジャスミン革命が起き、
チュニジア、エジプト、ついにはリビアも”民主化”されようとしている。
しかしこの論理は、本当の答えにはなっていない。
みな、「アメリカ政府のしていること」に怒っているのだ。
それは、パレスチナ問題でのイスラエルへの一方的な支援であり、
イラクやアフガンでの暴力的な政権転覆である。
そして何よりも、そのために多くの一般市民が巻き添えになっていることである。
アメリカ政府がこうしたことへの謝罪をしたことはいまだ一度たりともない。
911から10年。
犠牲者とその遺族の悲しみを思うほどに、
2度とこのような悲劇を繰り返してほしくないと思う。
そしてそのためには、
このような事件が起きてしまった原因を、
世界がもういちど真剣に考える必要があると思う。
(写真:エルサレムの嘆きの壁 去年2月撮影)
Unite the World !
Peace !!!
11,Sep. 2011
NIK