本日をもって、地上アナログ放送が終了した。
戦後に発達し主要なメディアとして存在してきたテレビは、
歴史的な大きな節目を迎えた感がある。
地デジ化は”電波周波数帯の有効利用”と”情報のデジタル化”という、
テレビの新たな地平を開くものだ。
だが一方で、東日本大震災とその後の原発報道を契機に、
テレビ離れが加速しいると実感せざるをえない。
地デジ化による視聴難民とは別に、
あえてこれを機会にテレビに別れを告げる視聴者も少なくないとも聞く。
twitteなどでは、”テレビは観ない””テレビは信用しない”といった発言も多く見受けられる。
実際に自分の周囲にもテレビを全く視聴しない人々が少なくない。
テレビ局に17年間勤め、
独立後も主にテレビの仕事をしている者として、
さびしい限りではある。
諸先輩方が築き上げ、自分もその一端を担ってきたテレビの存在意義が、
全くなくなったなどどということはあるはずがないとは思うのだが、
テレビ局がどれほど視聴者と向き合ってきたのかという部分においては、
自分も含めて反省すべき点も多いように思う。
テレビとネットを比較すること自体、
特性の違うメディアなので無意味な作業だとは思うが、
自分自身、ネットから情報を収集する機会が増えていることもまた事実だ。
一方で、災害や事件事故時の緊急報道やスポーツの生中継など、
テレビにしかできない役割もまだまだたくさんあるはずだ。
独立してからは、テレビ業界というものの実態を自分の目で見る機会も多いのだが、
そもそも健全な産業として成立していないような、構造的な問題があるようにも思う。
テレビは今後、どのような未来に向かって進んでいくのだろうか。
テレビにはできないことも多いが、
テレビにしかできない表現方法や伝達方法もあるはずだ。
仕事のうえではテレビ以外のメディアでの表現や発表も模索しつつ、
テレビに育ててもらった者として、
そしてひとりの制作者として、
これからもじっくりとテレビと向き合っていきたいと思う。
アナログ放送終了の夜に。