ムバラク政権の崩壊で中東に衝撃が走っていますが、そんな中、イラクで再びシーア派を対象にしたテロ攻撃が相次いでいます。
きのう12日にはイラク中部サマラにあるイスラム教シーア派聖地アスカリ聖廟の近くで巡礼者のバスが爆破され28人が死亡。この日はシーア派11代イマームのハサン・アスカリの殉教記念日で、イラク全土から巡礼者が集まっていたようです。
アスカリ聖廟は2006年、2007年と2度にわたってテロ攻撃を受け、その後の激しい宗派対立のきっかけとなった象徴的な施設です。
http://blog.livedoor.jp/eurasian/archives/2006-02.html
http://blog.livedoor.jp/eurasian/archives/2007-06.html
最初の爆破当時私はNHKスペシャル「イラク シーア派台頭の衝撃」という番組を制作していたのですが、その放送日がまさに2006年の2月12日。その10日後にアスカリ聖廟の爆破テロが起こり、宗派間の泥沼の殺し合いが始まったのを思い出します。そのときのシーア派の中心人物が、反米強硬派民兵組織マフディー軍を率いるムクタダー・サドル師でした。
2007年をピークに回復しつつあったイラクの治安が、ここに来て再び激化しているのはなぜでしょうか。ひとつには去年の総選挙で不正をめぐり長期の混乱はあったものの、最終的にシーア派のアラウィ首相が再選されイラクがシーア派の安定政権に向かう兆しが出てきたこと。そして、年内のアメリカ軍のイラク撤退が予定されていること。この2つの要因を快く思わず阻止しようという勢力が事件の背後にあると思われます。
親米を柱にエジプトを支配し続けてきたムバラク大統領が民衆の怒りを受けて失脚する一方で、イラクではアメリカとイランの威を借りたシーア派支配が始まっているようにも思えます。
今のところシーア派による大規模な報復攻撃などは報道されていませんが、気になるのはサドル氏が3年間のイラン留学を終えてつい最近帰国していることです。今後しばらく予断を許さない状況が続きそうです。
(写真は爆破以前のアスカリ聖廟)