ある海兵隊員の死

セシェ

イラク情勢が泥沼化している。宗派対立は激化し、連日数十人単位の一般市民が殺害されている。もはや内戦一歩手前の状況だ。

米兵の死者も急増している。10月の死者数は100人。イラク戦争開始以来、3番目の数字だ。この中には、沖縄の米軍基地から出征した兵士も含まれる。

ロバート・セシェもそのひとりだ。
国防総省の発表や米地方紙の報道を追うことで、その横顔が垣間見える。
http://projects.washingtonpost.com/fallen/dates/2006/oct/08/robert-m-secher/

33歳のセシェは在沖海兵隊第3遠征軍所属の大佐。テネシー州のジャーマンタウンという田舎町の出身で、一家は欧州から渡ってきたユダヤ人だ。少年時代から軍人に憧れ、17歳で士官学校に入学。卒業後は海兵隊に入隊し、若くして将校にまで上り詰めていた。マッチョな性格で仲間からは”マシン”の愛称で呼ばれる一方、親切で心優しい一面もあったようだ。イラクには今年1月から派遣され、死亡する直前の8月には休暇で帰省していた。日頃からイラクでの米軍の作戦に不満を口にし、もっと攻撃的になるべきだと主張していたという。9月、武装勢力の抵抗が活発化すると、自ら志願して再びイラクに戻った。10月8日、イラク西部のアンバール州で掃討作戦の最中、何者かに狙撃され死亡した。イラクでは今、プロのスナイパーによる米兵狙撃事件が急増している。アフガニスタンなどで訓練を受けた熟練のテロリストが本格的に流入している証拠だとも言われる。

彼の沖縄での行動や生活ぶりは、明らかになっていない。

セシェはよく家族に、「祖国のために尽くしたい」と語っていたという。独身を貫き、戦争に明け暮れた33歳の青年は、沖縄の青い空の下で何を感じ、イラクの砂漠で何を見たのだろうか。彼が忠誠を尽くしたブッシュ政権はいま、イラクでの敗北を認め、撤退に向け舵を切ろうとしている。

(写真:イラクでのセシェ/MEMPHIS COMMERCIAL APPEALより転載)

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