イランが核開発を加速し、中東に緊張が高まっている。
イランは核兵器不拡散条約(NPT)の締約国であり、核開発の継続はNPT体制への重大な挑戦と見られている。
しかしこのNPT自体、実は極端な不平等条約だ。
70年に発効したこの条約は、67年までに核兵器を製造、爆発させた5カ国(米、英、仏、露、中)を核兵器国と定め、それ以外の国への核兵器の拡散を防止するのが目的だ。5ヶ国は国連の常任理事国でもあり、つまりは第2次世界大戦の戦勝国連合である。
戦争に勝利し、核兵器をいち早く製造した国だけが保有を認められ、それ以外の国には核兵器の保有を一切認めない。このような身勝手な理屈がなぜ通るのだろうか。5ヶ国がいつまでも核兵器を保有しているからこそ、脅威に怯える国が自衛のために核兵器の製造を企むのだから。
現在のイランがまさにその状況だ。
イランの両隣のアフガニスタン、イラクでは立て続けにアメリカ軍が侵攻し政権が転覆された。アメリカは今もイランを「ならず者国家」と呼び敵視し続けている。イラン政府がどんなに「原子力の平和利用の権利」を主張しようとも、アメリカは聞く耳を持たない。安保理に持ち込み、経済制裁で弱体化するか、あわよくば核関連施設を空爆するのがねらいと思われる。
核兵器保有が認められているアメリカが、核兵器を戦争で使用した唯一の国であることも中東では広く知られている。イランの核開発に強硬に反対するアメリカはその一方で、すでに400発の核弾頭を保有しNPTを破綻させたと言われるイスラエルへの批判は一切行わない。
イランの核開発再開は、アメリカ中心の歪んだNPT体制そのものへの挑戦のように思えてならない。
(写真:イランがウラン濃縮を準備する核関連施設があるナタンツ付近の砂漠地帯。/去年12月撮影)